専門家による考証
2000年頃になると、さらに新たな技術の導入は無意味であることが明らかとなり、また費用の面からも不可能でした。いずれにせよ、次世代のパイプオルガンが視野に据えられました。これまでのパイプオルガンによる様々な経験は、新たなオルガン設計にも役立つものでした。このため特別委員会が設置され、5人の世界的オルガン奏者が設立当初から参加しました。イギリスのジリアン・ウィアー、パリのノートルダム大聖堂の主席オルガン奏者オリヴィエ・ラトリ、ドイツのルドガー・ローマン、オーストリアのマルティン・ハーゼルベックとペーター・プラニアフスキーでした。楽友協会からは資料館館長のオットー・ビーバが参加しました。
委員会が制作委嘱を決定したのは、オーストリア・フォアアールベルク州シュヴァルツァハのリーガー社でした。同社は、すでに1907年の2番目のパイプオルガンを制作したイエーゲルンドルフのリーガー兄弟の工房の後継会社です。コンサートがシーズンオフの2009年夏に古いオルガンが取り外され、2010年の夏には新たな楽器の建造が行われました。秋のシーズン開始からは数多くの夜間作業によって、6138本のパイプと81のストップを正しく調整する複雑な調律と整音の作業が進められました。続く2011年3月26日、ウィーン大司教で楽友協会参事会メンバーでもあるクリストフ・シェーンボルン枢機卿によって、新たなパイプオルガンを祝福するミサが行われたのです。